2008年09月02日

おばさんと金髪女性にはさまれる(3)

 あらためて彼女が指した印籠はちょっと変わっていた。
 それは楊枝入れに使われていたのだ。
 彼女にはそれがなんだかわからないらしい。
 薬を入れて歩くものと聞いたのに、
 となりには「とがった物体」が同じ容器に
 入っているのが解せないらしい。

 それはそうだ。印籠にこんな
 バリエーションがあったら説明しずらいじゃないか。
 おばさんは途方にくれてN氏を見る。
 N氏はあわてて説明する。
「ヨウジ、ヨウジ。ユーノー?」
 金髪女性、ぽか~ん。

 楊枝から説明しなきゃならないのか。
「えーと、デンタルクリーン! シーシー!」
 楊枝を使って歯を掃除するそぶりをしたが、
 彼女はイヤな顔をした。そして、あきらめた。
「サンキュー」
 彼女は複雑な顔で去っていった。
 N氏の説明はなんの役にも立たなかった。

 後日、飲み屋で知人にこの話をしたところ、物知りの男がいった。
「やっぱりドラッグっていうと、ちょっと悪い意味なんじゃないの?
 前にテレビで見たんだけど、松平健が印籠を英語で説明するには、
 『メディスンボックス』がいちばん正しく伝わるんじゃないかって、
 いってたような気がするなあ」
「なるほど、暴れん坊将軍がいうんだからまちがいないか」
「まちがいないね」
 あの女性にはつくづく気の毒なことをしてしまった。
 日本文化が誤解されなければいいけれど。

                 The End
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投稿者 Napori Takao : 07:00 | コメント (0)

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