2008年03月18日

大木のダメ出し(2)

「じゃ、さっきの話をもう一度、オレに説明してみてよ、
 ちゃんと理解した?」
 大木はまた後輩女性を試しにかかる。
 やっぱり唇をかむ下丸子。彼女はちょっと暗い印象だ。
 これで保険の勧誘をしても、お客はその気になりそうにもない。

 下丸子、ボソボソとなにやら説明をはじめるが、
 大木はすぐに「こんばんみ~!」の声色でツッこむ。
「アレアレアレ~! そうじゃないでしょ?!
 ねえ、ちゃんとオレのいってること聞いてる?
 前の説明も覚えてないじゃない。下丸子ちゃん、
 保険の知識ゆるいよ~! ゆるいな~あ!」
 憮然として腕組みをする下丸子。

「あ~もう下丸子ちゃん、たのむよ~!
 じゃ、もう1回説明するがよく聞いてよ! 
 なんでお客さんにドル建てで勧めるかわかる? それはね、
 ドルは基軸通貨だから! なんてったって、これは強い!
 ほら、日本の信用なんて、こんな下のランクだよ!
 ほらほら! だからドル!」
 ほんとかよ、もうドルはヤバイでしょ、と思った半年前のN氏。

「ちゃんと勉強しないと! もっとしっかり身につけていこうよ!」
 そう言いながら、大木は妙な咳払いばかり繰り返している。
「オレの作ったマニュアル、好評なんだけどなあ!
 この前、田中さんがね、『あなたの作ったマニュアル、
 使わせてもらってますよ。これいいですねぇ!』
 なんて言ってくれてさぁ! あの人。僕より先輩だよ!
 田中さんも気を使うよね、ハハハ!」

 あきれながら愛想笑いをする下丸子。
 大木の大声は明らかに店内の客を意識したものだ。
 ドル暴落の今ごろ、彼はなにをしているのやら。

                 The End
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投稿者 Napori Takao : 07:00