2008年02月18日
横山大観展(1)
重い仕事がひと段落ついた、平日の優雅な16:00。
N氏は新国立美術館の横山大観展会場にいた。
横山大観だけに年齢層が高めの客が多い。
30代のカップルも時折いるが、ほとんどは60代以上である。
会場に入ったとたんに、客の会話が聞こえてきた。
「なんだか、モヤッとしたのが得意だよね、この人」
N氏はヘタに理屈っぽい感想より、
素朴な実感のこもった、こんなコメントが好きだ。
会場を進むと、20代前半のガードマンに気づいた。
N氏もこんな頃に飯場に入ったり、ガードマンをやったりしていた。
そのせいか、今でも一度足を踏み入れた世界の住人である、
肉体労働者やガードマンが妙に気になってしまう。
仕事ぶりをちょっとチェックしてしまったりするのだ。
彼は厚い眼鏡をかけ、白い手袋をして展示会場の隅に立っている。
ニコリともせず、衛兵のように直立不動だ。
あたりまえだが、日本美術を代表する画家である
横山大観の作品に、もしもなにかあったらたいへんなのだろう。
「大観先生の作品を守るのがオレの仕事なんだ!」
という決意が、その緊張にみなぎっている。
ところが、彼のテンションをよそに、
今日も困ったマナーの客たちが館内にあふれているのである。
やはり年配の客はくたびれるのが早い。
おじさんとオバサンの集団が館内のイスのところへ
フラフラとやってきて、へたりこんだ。
「あ~よっこらしょっと!」
「ふえ~膝が痛い、痛い」
耳も遠いのか、おじさんたちの声は大きい。
ガードマンは思わず顔をしかめた。
~ To be continued
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