2008年01月30日
基本的にはいいヤツ(1)
大学1年生くらいの男子と、同級生くらいの金髪に染めた女子。
金髪の女の子は痩せているからか、
ロックンロールというより、繊細な感じである。
「オレ、チケットまだ売れなくてさあ。最悪4万円分、
自腹になっちゃうかも。まあ、でも正月の小遣いとか
もらっちゃったから、それ使えばなんとかなるかもしれないけど。
A子ちゃんはどう?」
「私は知り合いが仲間と買ってくれるみたい」
とぎれとぎれの話で推測するに、彼らのおかれた状況は
だいたいこんな感じのようだ。ライブハウスで何組かのバンドが共演する。
そのバンドの1組に彼の紹介? で、
その金髪の女の子が ボーカルとして参加するようである。
その参加責任として彼女もチケットの分担をしたのだろう。
「でも、いいのかなあ」
彼女が彼に聞く。
「なにが?」
「チケット買ってくれる人、漁師とその知り合いなんだよね。
わかるかなあ」
「いいよ、いいよ、全然いいよ。ジャンルの違う人のほうが
かえって伝わるものがあるかもしれないし、
べつの見方してくれるかもしれないじゃん」
そうだそうだ。漁師が演歌しか聴かないというのは、固定観念だ。
「そうだといいね」
「ところでさ」
ふいに男子がちょっと暗い目になっていった。
「でも、チキンズ(仮名)のギターのヤツには気をつけたほうがいいよ。
基本的にはいいヤツなんだけど」
「えっ?」
なにか含みのある言葉に、彼女はとまどった。
~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 07:00