2008年01月12日
インド人A君の災難(4)
こうなったら、絶対にまずいと言わせてやる!
「じゃ、これなんかどう、こんにゃく」
おでんのこんにゃくを口にしたA君、ふたたび気をつかう。
「……おいしいデス」
くそっ、ダメか。
「はい、ちくわ」
これもしっかり食べると、「……おいしいデス」
「お新香は?」
ふたたび食べて、「……おいしいデス」
くそっ、タフなやつだ。
が、ふと彼の皿を見て、N氏はあることに気づいた。
さっきからA君、食べるものすべてに和辛子をつけて食べているのだ。
そうか、辛子で味をごまかして飲み込んでるんだな。
フフフ、そうとわかれば。
おでんの具をひと通り食わせると、A君の皿には和辛子がなくなってきた。
だが、彼は遠慮して「からしをクダサイ」とは言えない。
フフフ、追加の辛子はあげないよ。
N氏はここぞとばかりに、おせち料理をさしだした。
「はい、おせち料理あるよ。これ、なます」
「なます?」
最後に残った和辛子を、なますにたっぷりつけて食べるA君。
気の遠くなるような顔をして食べながら、
皿に残った細くて白い物質を見つめ、A君は聞いた。
「これはなんデスカ?」
「大根の細切り」
「だいこん?」
「そうそう。えーと、英語でラデッシュだったけ、カズオ?」
「なんだっけなあ~」
「いや、でもこれは世界共通でいいのか?」
「わかんねえ」
2人がやりとりしているあいだ、
英語でイメージが通じず、しきりに首をひねるA君。
もはやN氏には、そんなことはどうでもいい。
もっと生臭いものを食わせてやる。これでどうだ!
オレンジ色をした、ウニの和えものを差し出した。
~ To be continued
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