2007年12月26日
頭髪への執着(1)
以前に書いた「寝かせてもらえない床屋」の続編である。
N氏はいつものようになじみの床屋に入った。
鏡の前に座ると、さっそく御主人が語りかけてくる。
「どうですか、冬至のゆず湯はもう入りましたか?」
「あ、そんなの忘れてました」
「ダメでしょ、本書いてる人がそういう季節感ってものを味あわなくちゃ」
「すいません……」
いつものダメ出しのあとで、興味深い話がはじまった。
「最近はね、顔を剃る時に、眉の形をキレイに整えてくれ、
なんてお客さんが増えましてねえ」
「へえ、そうですか」
「それが、ふつうの形じゃないんだな」
今日もお喋りで寝かせてもらえない。
「あんまり細かいこと言うときは別料金ですけどね、
まあちょっとならやってあげますよ。どうします?」
含み笑いで話しかける御主人。
「いや、僕はふつうでいいです」
「そうですか、フフフ。最近の若い男の子なんか、
眉を細く整えてくれなんて言いますからね」
「流行りなんですかね」
「そうかと思うと、あっちの業界筋の人とかは剃ってくれ、とかね」
「ああ、あるでしょうね~」
「ゴルゴ13みたいな眉にしてくれ、っていう人もいるし」
「えっ、そんな人いるんですか?」
「そういう人はだいたい、建設業界だね。ほら、会社に社員で入って、
現場監督だとか、測量士だとか、助手だとかになるでしょう、
そうしたら自分より、ひと回りもふたまわりも上の職人を
使わなきゃいけないから、なめられちゃいけないってんで、
若い人は眉に貫録もたせるらしいですよ」
「へえ、いろいろ苦労あるんですね~」
「ところでお客さん、てっぺんのところの毛が、
また、心もとなくなってきましたねえ」
出た! また頭髪へのダメ出しだ!
~ To be continued
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コメント
私の短大時代の同級生は高校生の頃、見えないくらい細く眉を剃りましたが
教諭から職員室に呼ばれて
朝食の味付け海苔みたいな眉をマジックで描かき込まれたそうです。
投稿者 fuk : 2007年12月26日 11:04
fukさんへ
コメントありがとうございます。
このところ朝から取材に出ていたために、
コメントのお返しが遅くなってしまってすみません。
高校時代、そういうのありましたね~
その人は短ラン派だったんでしょうか、
長ラン派だったんでしょうか。こういう同級生に
20年くらいたって同窓会で会ったりすると、
「あれーどうしたの?」なんて声かけたくなるくらい、
ふつうの服装してたりするんですよね~
投稿者 ナポリタカオ : 2007年12月28日 13:24
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