2007年12月21日
クレームの鬼(3)
オバサンはまわりなどまったく気にもしない。
確信犯でパフォーマンスを演じている。多くの民衆の前で
あんたらに恥をさらさせてやる、という屈折した正義感だ。
だが、関西と関東の価値観の違いを主張したうえで、
「関西はちがう!」と声高に主張すれば、
地元育ちの世田谷区民は微妙な気分にもなるだろう。
さっそく奥の年配女性客の2人が「ちょっと……」
「イヤねえ……」とヒソヒソ話をはじめた。
店内の客の同情的視線が、苦情対策係の若手2人に集まる。
「そんならカルチャースクールの件は、どうするの?!」
まだべつの苦情があるのか?
「あ、そちらのほうはもちろん、その」
「アタシ、これでもいろいろお花の教室も通って、師範も取ってるのよ!
お花の教室で続けて2回お休みして、次に出かけたら『契約内容が
変わりました。2回欠席したら卒業試験は受けられなくなりました』
って、なに?! 最初、そんな契約じゃなかったじゃない!」
頭をかかえる苦情対策係たち。
「アタシがつぎこんだ、この2年の時間と労力は
なんだったんですか?! アタシ、なんですの?!」
なんですの、ってあなたはクレームの鬼ですの。
オバサンは涙まじりの怒鳴り声を響かせる。
「アタシへの嫌がらせじゃない! こんなの英会話のNと一緒よ!
あなた達が管理してるなら、ちゃんとそんな講師は摘発してよ! 」
摘発とはキビシ~イ。でも、こんな生徒には講師も来てほしくないだろう。
策をめぐらせて、うまくやめさせるつもりだったのか。
でも、ちょっとわかりやすくやりすぎたな。
「スクールの件に関しては、先方ともいろいろお話をしてですね、
善処させていただきますので」
「善処ってなに?!」
「とりあえず、今はなんとも。
あとからご連絡申し上げますので、申し訳ありません」
苦情対策係の若手2人は、商品券に関しては絶対折れないが、
スクールの件では譲歩するらしい。マニュアル通りと見た。
ちょっと安心したオバサンだが、手をゆるめることなく、
また血走った眼で話をむしかえした!
「ほんなら、商品券はどうすんの?!」
~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 07:00