2007年12月10日
店にケンカを売る女(3)
「申しわけありません、お客様。あの、こちらは
禁煙ゾーンとなっておりますので、おタバコはあちらに
移動して吸っていただけませんでしょうか?」
「えっ?」
とたんに彼女の顔が引きつった。
びっくりして周囲を見渡し、状況を理解したようだ。
「ご、ごめんなさい! 私、気、気づかなくって!」
彼女はもとの「小鳥のさえずるような声」にもどって、
あわててタバコを灰皿でもみ消し、あわてて席を立った。
移動するのか、と思えばそうではなく、自分の失態を
恥ずかしく感じたのか、返却棚に灰皿とカップを置き、
そのまま帰り支度をはじめた。
そして、店の従業員にふたたびあやまった。
「すみません、私、全然、気づかなくって!」
ちょっと大きな声で言ったのは、文句を言った「おばさん」を
意識して、彼女にもあやまったつもりなのだろう。
「ご、ごめんなさい!」
コートの裾をなびかせて、小走りの彼女は
あっという間に自動ドアのむこうに消えた。
そうか、天然ボケだったのか。
ああいう、やわらかい声に弱いんだよなあ。
年齢は30代前半か、いいなあ。
でも、タバコはダメだ。タバコさえ吸わなきゃなあ……
「フン!」
N氏の妄想を吹き飛ばすような無粋な声が横から響いた。
まず、アタシにあやまれよ、と言わんばかりに、
不服そうにしているおばさんがそこにいた。
ところが、これで物語は終わらない。
その10分後、新たな事件が起こるのだ。
引っ張りすぎの物語も、いよいよ次回で完結!
~ To be continued
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