2007年11月22日
ひと晩の別れ
川崎駅に向う途中で同乗の男が降りたので、私は野沢に話しかけてみた。
「みなさん、C運送さんの方なんですか?」
「そう。みんなバイトですよ」
「C運送さんっていうと、運輸のほうだけじゃないんですか?」
「いや、けっこうああいう作業も多いですよ」
それから野沢は「あの店舗もそうだし、あの店舗も」
などと説明してくれた。会話はほんの束の間だった。
野沢の車から降りて挨拶をした。
「どうもありがとうございました。お疲れさまでした」
「どうもありがとう。お疲れさまでした。またよろしくお願いします」
「お疲れさまでした!」
私は野沢の「またよろしく」に「また」とは返さなかった。
疲労と眠気と大杉への苛立ちで、つい本心が出てしまった。
もう働くことはないとしても、言ってもよかった言葉だった。
少なくとも野沢には感謝していたのだから。
近くの電話ボックスに入り、電話番号をメモした紙を
バッグから探しながら、大杉の冷ややかなメガネ顔を思い浮かべた。
まただまされた。給料がその日にもらえるからこその
日雇いなのに、その場で給料が出ないなんて。
たしか、会社は朝の9時からと書いてあった気がする。
もしそうだとすると、私は朝の5時30分から9時までどこかで
時間をつぶすか、一度帰って出なおさなければならないのか。
こんな条件ではだれだって、やりたくないはずだ。
「大杉……」
かけてみると電話はつながったが、話し中だった。
こんな時間でも、一応だれかいるのだ、と半分はほっとした。
ふたたびかけてみると、つながった。
「はい、ホイホイサービス」
声は大杉だった。この野郎……怒りがこみあげた。
日雇い3日目05:20-05:40 ~ To be continued
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