2007年10月10日
荷物の濁流
フォークリフトはひと晩中、トラックに台車を運び出している。
運転しているのはA運送の作業服を着た50くらいの男だった。
荷物は次から次へ沸いて出るように果てしなく続く。
故郷から息子や娘に送られた荷物はひと目でわかる。
親の情愛のようなものが箱のそとにあふれている。
しかし、それをさばく日雇いにとっては、「いまいましい荷物」の
ひとつにすぎず、苛立ちをぶつけるように箱は積み上げられていく。
私はこの晩、すでに数百の荷物をさばいていた。
ここにいる日雇いだけで、おそらく数千という荷物をさばいている。
これが宅配便会社1社の夜間だけとするなら、日本全国でいえば、
最低でも数万の荷物が1日で行き交っていることになる。
日本人はいつからこんな気軽に荷物をやりとりするように
なったのだろう。これらは本当に必要なものばかりだろうか。
早い、安い、便利、時間指定などと言っているが、
便利なのは消費者だけで、荷物をさばく労働者は悲鳴をあげている。
毎日こんな仕事をしていたら、きっと人恋しくてたまらなくなるだろう。
長く勤めているいる連中には家庭や恋人がいるのだろうか。
したたる汗を荷物にぽとぽと落としながら、
そんなことを頭の隅で思っていると、なんだか弱気になってきた。
朝まで体がもつのだろうか。時計を盗み見たが、0時前である。
早く夜が明けてくれ、と祈ってみても、とほうもなく夜明けには遠い。
日付が変わり、0時30分になるころ、坂田が笑顔になって声をかけた。
「はい飯! おにいさんたち、飯行くぞ!」
各持ち場で、交代で休憩をするようだ。
休憩、飯、と声をかけるときの坂田は、実にいい顔をした。
さっきまで怒っていた顔が親しみのあるおっさんの顔になる。
本人もこうやって親分的な立場で、新入りを休憩所に
引き連れていくのを楽しんでいるようだった。
日雇い1日目23:30-00:40 ~ To be continued
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