2007年10月09日
真夜中の罵声
坂田は吉田よりは新入りの扱いかたがうまかった。
が、私が一度だけ空の台車の置き場所を
まちがえたときには、人が変ったように烈火のごとく怒った。
「てめえ、仕事なめてんのか! そんなとこ置いたら
邪魔なんだよ! フォークリフトが通るんだよ!
さっきも聞いてたろうが! なにやってんだ、バカ野郎!」
坂田の言うことはもっともなのだが、空の台車をもどす場所というのが、
時間によって違うのだ。あるときは「Aの場所にもどせ」と言うが、
あるときは「Bの場所にもどせ」と言う。そのちがいが、仕事の流れを
つかめない新入りにはわからない。あまりうるさいので、
台車をもどすときにはバカ呼ばわりされてもいいので、
「こっちでいいですか? それともこっちですか?」
と聞くことにした。
あたりまえだが、大きな荷物から片付けないとだめだということも、
怒鳴られないとわからないものだ。荷物のなかには書類もあるが、
それをあとまわしにして大きな箱から積まないとうまくおさまらない。
そのほかにも、さまざまな注意事項を伝えられるのだが、
困ったことに、音のうるさいところで早口で言われるので、
半分は聞き取れない。
「なんですか?!」
と聞くともう一回答えるが、それでもまったく聞こえず、
近づいてもう一度確認しようとすると、坂田は怒り出す始末である。
ベテランの人間も人によってやりかたがちがい、こっちに
仕事を流して分担してやらせようという者もいれば、
仕事をわけて、自分のものは自分でという人間もいる。
各自の仕事の癖も把握しなければ、目の前においてある
台車を移動させていいものかもわからないのだ。
日雇い1日目22:40-23:30 ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 11:35