2007年10月04日
第3章 兵隊蟻 ~排気ガスにまみれて
冷蔵庫、パソコン、テレビ台、工業部品の重いパイプ、
精密機械、新聞社の備品……さまざまなものが次から次へと
送られてくる。だが、今はのんびり眺めている時間はない。
バーコードがなかなか読み取れないで手間取っていると、
いっぺんに30箱近くの荷物が流れてきて、すべり台が
上までいっぱいになって、つかえてしまった。
バーコードもどこまで読み取ったかわからなくなった。
「すってばっかりいるんじゃなくて、片づけながらするんだよ!」
吉田は怒りながら私のアシストに入った。そんなことくらい、わかっている。
A運送でミーティングをした社員もさっと入ってきて、つかえた荷物を
下に降ろした。彼はすべり台を降りてきながら、吉田に怒鳴られた
私をリラックスさせようとしたのか、私に苦笑してみせた。
「一か所で25個もいっぺんに送ってきてやがるよ」
いっしょに苦笑する余裕がなかった。
数十分後、吉田が缶コーヒーを持ってきて、私の顔の前に突き出した。
「さっきのトラックの運転手さんが飲んでくれって。
あとで休憩あるから、ひと息ついたら飲めよ」
「すいません」
あたりを見まわしてトラックの運転手を探したが、もう姿はなかった。
台車に区分けされた荷物は、ひっきりなしに行き交う
フォークリフトでトラックに運ばれていく。
その排気ガスが倉庫全体に立ちこめ、喉がべとべとする。
やがて荷物の区分けが全部終わり、休憩となった。
まだ21時だ。立ったまま、缶コーヒーを飲んだ。
近くで休む吉田は無言で無愛想のままだが、
彼が私に多少の信頼感はもってくれたように感じた。
ニヤケ裕二はどのレーンにいるのだろう。抜け目のない彼は
休憩をしっかりとったうえで22時にここを去り、次の職場に
異動するのだろう。彼は「これからの時間がきつい」と言っていたが、
これから、なにがはじまるのだろう。
「おい、今度はむこういって」
休憩は10分たらずで、吉田に指示されたレーンに向かった。
日雇い1日目20:30-21:10 ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 07:00