2007年10月03日
すべり台の往復
吉田が相変わらずの無愛想な顔で私に言った。
「あれは、上のほうで荷物がつかえたって合図だから。
ほら、あそこ。すぐにひっかかるから」
荷物を上から流す、すべり台の上部に、タールのようなものが
こびりついていて、荷物が2つ、ひっかかっていた。
「こういうときは」
吉田が禁止されているはずの、ベルトコンベアーに乗った。
ベルトコンベアーは荷物が流れやすいように、
丸い鉄柱がくるくるまわるようになっている。足をすべらせないように
彼はコンベアーに上り、すり抜けて、すべり台によじのぼった。
それから、荷物を手で軽く払い落した。荷物の重さに足をとられたら
自分が下へ転落するので、自分よりあとから荷物が落ちるように
注意して落とさなければならないのだ。
降りてきた吉田が、ふたたび無表情で言った。
「ブザーが鳴ったら、すぐこれやって」
数分もたたないうちに、赤いランプがつき、けたたましくブザーが鳴った。
私はコンベアーをすべらないように移動して、
その先のすべり台をのぼり、荷物を手で下に払い落とした。
ところが、もどってくると、また赤いランプにブザーだ。
とくに私の20番レーンはよくひっかかった。
上って降りて、また上る。徒労感がこみあげてくる。
バーコードも何回こすっても読みとらず、いらいらしてくる。
コンベア-もバーコードも、便利さを追求するための道具が、
ちょっと機能しないだけで、数倍のムダな負担となって働く者を苦しめる。
A運送のトラック運転手はどこかで見ているのか、
私の仕事がたいへんそうだとみると、スッと私の領域に入ってきて、
手際よく手伝ってくれた。「これ擦ったね?」と確認すると、
仕分けの地域がわかりやすいものだけを台車に運んでくれた。
彼は私より5歳ほど若かったが、そのたびに私は「すいません」と頭を下げた。
運転手は倉庫内においては、汗だくになって仕分けをする男たちよりも、
身なりも髪型もこざっぱりしていて、振る舞いにも余裕があった。
たしかにそうかもしれない。彼らの戦場は道路なのだ。
日雇い1日目19:30-20:30 ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 07:00