2007年09月27日

黒い部屋

私たちは入口ちかくにある事務所に通された。
更衣室があり、そこで10人弱の男たちが着がえていた。
見るからに内向的で偏屈な印象の彼らは、
うつむき加減で、斜め下からチラッと私たちを盗み見た。
30前後から45くらいだろうか。

「うえーっす」
私たちを乗せてきた運転手が、彼らに怠惰な挨拶をした。
私たちも合わせて挨拶をしたが、彼らは無視した。
これがいっしょに働く連中なのか。予想はしていたが、
仕事になれるより、まず気難しそうな、
この連中に慣れるのがたいへんそうだった。

経歴の長さを物語るように、着替えている連中のなかには、
くすんだ色のものを着ている男もいる。首まわりがよれよれで、
泥と汗で茶色くなったTシャツを平気で着ている者もいた。
トラックの排気ガスの臭いが更衣室のなかにたちこめていて、
胸が気持ち悪くなってくる。更衣室は壁までも黒っぽく
薄汚れていたが、排気のせいだろうか。

 運転手が私たちに言った。
「すぐに着がえてください」
 やはり弁当を食う時間などなかった。
 私たちは、さっき買ったばかりの真新しいTシャツに袖を通した。
 薄汚れた更衣室、重い部屋の空気のなかで、新品の白さは異様だった。

長髪、茶髪は禁止だと言われているのに、
ストレートのロングヘアーの若い男がいた。25くらいである。
彼は世の中すべてがおもしろくないといった感じで、
一般社会なら相手にもされそうにないのだが、
ここでの経験が長いのか、会社も文句が言えないのだろう。
新しく入ったばかりに見える、30くらいの背の低い
メガネの男にだけ、体育会系の口調で言った。
「下に集合!」
ひとまわりも年上の私たちに直接命令しないのは、
彼もそれなりに気を使ってのことらしい。

        日雇い1日目17:55-18:05 ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 07:00