2006年09月20日
幼虫との同棲生活(1)
N氏がベランダに置いた鉢植えのグレープフルーツ。
そこに今年も黒いアゲハ蝶がやってきたのは、9月上旬のことである。
まもなくすると、体調2センチほどのホコリの塊のようなものが3つ、
葉にくっついていた。幼虫の誕生である。
今年も来たな。
N氏のひそかな楽しみである。
「蝶や蛾は昆虫に分類されるので、数えかたは頭(とう)です。
この場合、3頭と数えるんですよ。あ、大人なのに知らないの?」
1年前に仕事の取材で教えてもらったばかりなのに、知ったかぶりのN氏である。
ともかく、その3頭は脱皮を繰り返し、直径7mm、体長4cmほどの
きれいな緑色の幼虫に成長した。
近くで見ると、どこを見ているのかわからないトボケた目が愛らしい。
N氏はベランダに出るたびにのぞいてみるが、
体の色は日に日に青さを増している。
これならだいじょうぶだろう。
そう思った矢先、朝になってバサバサと小鳥の羽音が聞こえた。
イヤな予感がして出てみると、いちばん小ぶりだった1頭がいない。
やられたのか……しかし、鳥とは限らない。
直撃はなかったものの、台風の影響で風雨の強い日が続いていた。
昨夜は風も強かったし、強い雨も降った。
どこかに飛ばされたのかもしれない。
付近を探索するが、姿は見えなかった。
翌日、また小鳥の羽音。ふたたび出てみると、また1頭が行方不明だ。
やっぱり、鳥にちがいない。
今日はいちばん体格のいい、ボス格のヤツがやられてしまった。
残るはボスのそばに、いつもかくれるようにじっとしていた、
お人好しの1頭である。いや、そんなふうに見えて、じつは策略家かもしれない。
「食べるならこの人からどうぞ! 私は明日でけっこうです!」
みたいなことを鳥に訴えたのかもしれない。
もしかしたら、ボスがとまってる枝をわざと揺らして、
「エサ、ここです! 幼虫あります!」
みたいな裏切り行為までしているかもしれない。
こんなヤツこそ、実はいちばん生存能力が強いのは、
人間社会も同じようなものだ。
しかし、とN氏は洗濯物を干しながら考えた。
鳥は味をしめて明日も来るだろう。
最後の命までくれてやるわけにはいかない(by 哀川翔Vシネマ)。
N氏は鉢を部屋のなかに入れて守ることにした。
その日から幼虫との多難な同棲生活がはじまった。
To be continued
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人気blogランキングへ
↑ブログランキングに参加しています。クリックで応援いただけるとありがたいです。
コメント
ご無沙汰してます。
ナポリさんらしからぬ心温まる書き出しですね。
素敵なオチを期待してます。(実は○○○○じゃなかったとか…)
それから、質問ですが
昆虫に分類されるからということなら
ゴキブリも1頭、2頭になりますよぉ〜? ほんとですかぁ〜?
投稿者 新米パパ七ヵ月 : 2006年09月20日 14:44
アゲハ蝶ですか、ちょっと懐かしい感じです。
腰を痛める2年前まで家庭菜園をやっていましたが、モンシロチョウはキャベツに卵を産み付けますがアゲハチョウは人参の葉に卵を産み付けるんですよね。大きくなって葉が食い荒らされるまで見分けが付きませんでした。
投稿者 団塊世代が心と身体とお金の健康を考える!byヤスオ : 2006年09月20日 19:00
こんばんは。
ナポリさん優しいですね~~~^^。
グレープフルーツの葉を分け与えてあげているんですね^^
彼女(彼?)との同棲生活、さていかに・・・?
ちなみにホントにアゲハ蝶さんのお子様ですね~
☆
投稿者 ひまわり : 2006年09月20日 19:22
その後の同棲生活の様子、是非知りたいです。
うちのガーデニア(くちなし)に住まった幼虫の何頭(8頭中、2頭)かは、アゲハ蝶になって、はばたいていきました。
投稿者 Anonymous : 2006年09月20日 23:33
↑コメントはMAIAでした!
投稿者 MAIA : 2006年09月20日 23:33
新米パパ七ヵ月さん、ヤスオさん、ひまわりさん、MAIAさんへ
コメントありがとうございます。
みなさん期待の展開、実は……
これから書きます。
投稿者 ナポリタカオ : 2006年09月21日 11:22
コメントを送ってください