2006年07月15日

おじさんは子どもの夢を壊さなかった

1960年代後半、ある小さな町の小さなご近所づき合いの話だ。
主人公の幼稚園児をA君と呼ぼう。
今回のエピソードは当時のままの、彼の目線で語ってもらおう。

「あのね、近所の友達の家に遊びにいったんだよ。
ニコニコして出てきたおじさんの半袖シャツから、
いろんな絵がかいてあるのが見えたよ。
『見せて見せて』
と頼んだけれど、おじさんは見せてくれなかった。

それにおじさんは右手の小指がないんだ。
『どうしておじさんは小指がないの?』
って、ボクが聞いたんだ。そうしたら、
『おじさんの指はピラニアに食べられちゃったんだよ』
って答えて、家にあったピラニアの水槽を見せてくれたんだ。

歯がトゲトゲしてて気持ち悪かったよ。
でも、あんなにこわい魚なら、
おじさんの指も食べられちゃうだろうな。

でも、金魚をエサにするのはかわいそう。
だって、ボクのうちでは金魚を飼ってるんだもん。
ピラニアにはみんな気をつけようね」

やがて少年はおじさんに、
おじさんはおじいさんになった。
おじいさんはもう昔のように高い植木に上って、
手入れすることもできなくなったけれど、
おだやかに孫たちと暮らしている。
ピラニアはまだ飼っているのだろうか。

  The End
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投稿者 Napori Takao : 10:50 | コメント (4)

コメント

私の街にもいました。
故)荒井注さんに似たおじさんで、よく駅でみかけた。
うちのお婆がまだ達者な頃によく親しげに会話してた。
でも半袖シャツになったら真夏の桜吹雪がチラチラと。
そのスジっていうかそのスジの方だったみたいだけど
怖い人には見えませんでしたね。

投稿者 fuk : 2006年07月15日 15:40

fukさんへ

コメントありがとうございます。
荒井注……好きでしたね。
脱退のときはほんとにがっかりしました。

投稿者 ナポリタカオ : 2006年07月16日 08:47

水槽のピラニアも仕事してる訳ですね。
これも体験あれも体験!(謎

思い出したけど
小学校の時。。友達の家がソノ筋だったみたいで
遊びに行ったとき広い玄関に黒い革靴が たくさん並んでいて
何故かコカコーラの自動販売機があったのよ。
不思議だったけど 羨ましいな~って思っちゃった。
今。。どうしてるんだろう。

投稿者 ユエ : 2006年07月16日 22:02

ユエさんへ

お休みしてたのでコメント遅くなってすみません。
たしかに自分の家の前に自動販売機がある子って、
うらやましかったですね~

投稿者 ナポリタカオ : 2006年07月19日 10:28