2006年05月10日

高速バスの恐怖

GW中の5月6日、その事件は起きた。
静岡県内のある地方都市と東京を直行便で結ぶ、
高速バス車内での出来事である。
バスに2人の男性客が乗った。
見たところ、60代後半と30代前半である。
まもなく会話から2人の関係が「叔父と甥」だと判明した。

なにやら初めての2人旅らしく、
最初からぎこちない雰囲気が漂っていた。
そんな空気をなんとかしようと、
叔父さんは缶ビールで景気づけをしながら話しかけた。
「あ、あの看板! エネオスって○○○と×××が合併してできたんだよな」
「ああ、イチローがコマーシャル出てるよね」
「あれね、むかしは△△△って言ってねえ。しかしガソリン高くて困るよなあ。
あれどうなってんだろうねえ」
「……うん」
沈黙。

乗客は2人の会話が気になってしかたがない。
叔父さんがんばれ、もっとスムーズに。
まさにストックホルム症候群の心理だ。
「イカ食べる?」
「ああ、もらいます」
「いいよいいよ、もっと食べなよ」
「うん……」
また沈黙。

「山に藤の花がすごいなあ、ほらあそこなんかすごいよ」
「うん……」
思わず乗客たちも車窓を見るが、すごいというほど咲いていなかった。
重い沈黙。
もうやめるんだ、叔父さん。そんな気づかいはむなしいだけだ。
寝たふりをしてしまえ。いや、ほんとに寝てしまえ。
だいたいあんたの声はさっきからうるさい。

バスは足柄サービスエリアに休憩のため停車。
ジュースを買い込んだ叔父さんは、ぐいっと飲むなり、言った。
「いやあ、これすごくおいしい!」
「ふうん……」
ビールをさんざん飲んだあとのジュースなどうまくない。

手持ちぶさたの叔父さんは、
歯にはさまってしまったらしいイカをチッ、チッ、チッとやりだした。
コミュニケーションがうまくとれない苛立ちのようにも見える。
甥がイカくさいため息をふうっと吐いた。

10分後、ほんとうの沈黙が訪れた。
疲れ果てた叔父さんがイビキをかいて眠りはじめたのだ。
「ガウウッ……ガウウッ………ガウウッ………」
叔父さん、お疲れさま。ゆっくり休んでください。
ほっとしたのは、甥だけではなかった。
乗客たちは疲れた体をシートに重く沈めた。

  The End
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投稿者 Napori Takao : 11:10 | コメント (4) | トラックバック (0)

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コメント

お久しブリブリっす!お元気っすか?タカオさんの立川での半地下生活を知る者です。…そう、あの「ラ・パルフェド」の。しかし、ブログネームといい、内容といい、なんからしくないっスね~。なんかキレイな感じで。笑。もっとドロドロした内容を期待します!では、また。

投稿者 「プージョ」改め「シュージョ」 : 2006年05月10日 18:25

こんなところにトイレの落書きが……なんだ、ジョからか。このブログはキレイでいいんだよ。昔とは変わったのさ。 (ノ-_-)ノ お前こそ、ドロドロネタでブログやんなさい。

投稿者 Napori Takao : 2006年05月11日 09:42

ストックホルム症候群といえば『狼たちの午後』ですね。
話は逸れますが今夜TVにアルパチーノが出ていました。
デニーロと競演の映画『ヒート』。
ぜんぜん観ていませんでした。
あの映画は二人の大物俳優が撮影現場で一度も顔を合わせなかったという噂を聞いた事があります。

投稿者 fuk : 2006年05月12日 02:16

前に一度見たけど、
たしか「オレは一度もつかまらない」って、
デニーロが何度も言ってたような……
たしか最後は飛行場で……のような。

最近、お笑い芸人で真似する人いるでしょ?
デニーロっていうと、あっちの顔が浮かんで笑ってしまいます。

投稿者 Napori Takao : 2006年05月12日 09:29

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